夜の信号機
おれは、夜勤を終えて帰宅する途中だった。
もう真夜中の十一時。
そんな時間帯に、車を走らせて家へ向かっている。
無論、車なんぞおれのだけさ。誰もいない道を、気楽にのんびり走って、ごきげんな音楽でも鳴らせば、案外と夜の運転も悪くない。
そんな時、信号が赤になったのが見えた。
ブレーキを踏み、停止線の前で止まった。
おれは車内に流れる音楽をぼんやりと聴きながら、信号が青になるのを待った。
……さっきも言ったが、辺りを見渡しても車ひとつ、いや通行人すらただの一人もいない。
だから、信号を待っているのは、おれだけだ。
おれの交通規則を守らせるためだけに、信号機は動いている。
ふと、その時思ったんだ。
信号機は、この夜中も、ずっと変わらずに動いている。
なんのために?
おれがいなくなった後の、あの信号機に、一体なんの意味がある?と。
誰もいない、必要とされていないのに、信号機は動き続ける。
今までも、これからも、ずっと果てしなく変わらずに……
……おれは、さっきまで心地よく聴いていた音楽が、急に雑音のように耳障りに成り始めたので、スイッチを切って止めた。
しん、と空気が冷えていた。
信号が青になった。
アクセルを踏んで、前進する。
バックミラーで、ちらりと後ろの信号機を見る。
また、赤に変わった。
もう誰もいないのに。
信号機は変わらず動いている。
今もずっと。
もう真夜中の十一時。
そんな時間帯に、車を走らせて家へ向かっている。
無論、車なんぞおれのだけさ。誰もいない道を、気楽にのんびり走って、ごきげんな音楽でも鳴らせば、案外と夜の運転も悪くない。
そんな時、信号が赤になったのが見えた。
ブレーキを踏み、停止線の前で止まった。
おれは車内に流れる音楽をぼんやりと聴きながら、信号が青になるのを待った。
……さっきも言ったが、辺りを見渡しても車ひとつ、いや通行人すらただの一人もいない。
だから、信号を待っているのは、おれだけだ。
おれの交通規則を守らせるためだけに、信号機は動いている。
ふと、その時思ったんだ。
信号機は、この夜中も、ずっと変わらずに動いている。
なんのために?
おれがいなくなった後の、あの信号機に、一体なんの意味がある?と。
誰もいない、必要とされていないのに、信号機は動き続ける。
今までも、これからも、ずっと果てしなく変わらずに……
……おれは、さっきまで心地よく聴いていた音楽が、急に雑音のように耳障りに成り始めたので、スイッチを切って止めた。
しん、と空気が冷えていた。
信号が青になった。
アクセルを踏んで、前進する。
バックミラーで、ちらりと後ろの信号機を見る。
また、赤に変わった。
もう誰もいないのに。
信号機は変わらず動いている。
今もずっと。