ポエム
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私の祈り

私はこれまで

実に多くのものを失ってきました

心休まる我が家も

好きだった近場の海も

本当の友達も

そして

心の拠り所だった、家族も

理不尽に

突然に

強引に

それらは消えていきました



理由は

天変地異だったり

人間の暗部の業だったり

どうにもできない仲違いだったり

様々ございました

私は

そうやって消えていったものたちを思い出すのが

とても辛くて

誰にも気づかれないように

こっそりと隠れて

震えながら泣きました

悲しみ、憎悪、怒り、嘆き

あらゆる感情が、私の中を吹き抜けていきました

だから

そんな気持ちに耐えられなくて

私も、彼らと共に消え去るか

私を残して去った、裏切り者たちを殺してしまうか

夜通し悩んだこともあります

だけど

そんなある日

私は、一枚の写真を見つけました

家族写真です

実に、幸せそうに

私たちは笑っていました

これからも、家族が

ずっと仲良しであることを

無垢な気持ちで信じている顔です




私は、泣きながら

微笑むことができました




消えたものは、もう帰ってはこない

去っていった人は、もう戻ってはこない

しかし

私が、その消えたものたちを

本当に、心から

愛していたこと

それは、紛れもない事実であったこと

それを思い出したのです

今はもう、物理的には消えてしまっていても

私の胸の中には

鮮明に生きていたのです





だから

私は、こう祈ります

今日

今日だけ

私と、私の知る全ての人が

幸せでありますようにと



明日も明後日もなんて、贅沢は申しません

世界中の人がなんて、無茶は申しません




今日だけでいい

今日という一日だけ

私の知る人たちだけでも

互いにニコニコしていて

仲良しで

大事なものがそばにあってくれたら

それで、充分です

例えいつか消え去るとしても

どんなことがあろうと

私は、今日という日を永遠に忘れません





あなたの全てを

愛しています








20/08/06 09:51更新 / すっとこどっこい



談話室



■作者メッセージ
私がこの祈りに至ったのは、19歳の頃でした。
しかしまだその頃は、私の中で真に昇華仕切れていませんでした。

なので私は、多くの作品に、この詩と同じテーマで書き続けました。

このサイトにも、同じ題材で創った詩を投稿しております。

けれども、今日私は、夢を見ました。

家族が、昔のように仲良く食事をしている夢。

久しぶりに見た母の笑顔に、私は心からほっとしました。

やっと母を許せた気がしました。

なので、ようやくこの祈りを書き切ることができました。

私の混じり気なしの、本当の祈りです。

この詩より良いものを、今後書ける気がしません。

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