欲しかったのは、青い鳥ではなかった
幸せの青い鳥
それを見つけたら、幸せになれるとずっと思っていた
だから見つけるために、長いこと旅をした
海を渡り
砂漠を進み
森を探索し
名も知らぬ街を放浪した
だが
結局青い鳥は、私たちの家の鳥かごで見つけた
幸せは、近くにあったのか
ならばこれで、幸せになれる……
そう考えていた
しかし
私は旅を止めてから、どうにも変な気持ちだった
毎日が無気力だったのだ
幸せの青い鳥が、そばにいるはずなのに……
いや、確かにいつも平和だ
それは良いことだ
けれども、このカレンダーのマスを塗りつぶすだけのような日々が、どうにも私には辛かった
旅が、したかった
青い鳥を探していた毎日は、いつも輝いていた
希望と冒険心と
そして、楽しさに満ちていた
ああ、そうか……
私は、自身の感情を理解した瞬間、鳥かごにいた青い鳥を、空に放った
さあ、遠くまで飛んでいきなさい
またお前を探しに行こう
そうだ、私が
私が本当に探していたのは
幸せになるための鳥ではない
生きるための目標だったのだ
探しだして捕まえることではなく、希望に溢れた旅をすること、そのものだったのだ
胸を高鳴らせて、私は荷造りをする
そして、玄関の扉を開ける
ああ、また見知らぬ森へ行けるのか
果てのない巨大な水平線を見れるのか
旅に、出られるのか
なんて楽しみなんだ
なんて
幸せなんだ