思い出の幻影
授業中、延々ふざけ続けて
先生に怒鳴られながら、反抗してた若いおれたち
好きな女の子の話をちょっとすると
誰かが猥談にそらしはじめて
それに大笑いしながら聴いていた
外に出た時は
公園にあるバスケのリングに手が届くか
日が落ちてもチャレンジし続けたたあの日の事を
今も鮮明に覚えている
おれにとっては
そんな時間が、幸せだった
バカで無鉄砲で、そして友達想いのあいつらが
おれは
本当に心から、好きだった
そんな彼らも、背広を着て
ネクタイを絞め始めると
とたんに変わってしまった
「公務員のおれが上」
「女にモテないヤツは雑魚」
「おれはあいつより良いところに住んでいる」
互いの自尊心のために、傷つけあう
悪口を言っても、素直に謝ることができなくなり
すっかりもう、友達とは呼べないような関係にまで、落ちてしまった
おれは卒業アルバムを独りで見返しながら、当時を思い出す
写真の中の彼らは、当時と変わらない笑顔で笑っている
だがそれは、幻影の笑顔
今はもう、彼らにはない
同じ顔なのに、今は憎しみあい、貶しあう
昔のように、みんなと遊びたいと願っても
それはもはや叶わない
叶わない
叶わない……