胸のうちのスキマ風
私の胸の真ん中に
小さな小さな 穴がございます
キリで開けたような 丸い穴
さして目立たない場所に それはございます
他の人から見れば
そのような穴など 取るに足らないものでございましょう
その穴で 死ぬ訳ではない
少々 胸にスキマ風が入り
なんだか肌寒いというだけで
何にも不便なことなどないと
きっとおっしゃられることでしょう
でも私は
この、スキマ風に
どうにも耐えられそうにないのですよ
塞がらない
どうしたって、塞ぐことができない穴なのです
例え 誰かが私を抱いたとしても
凍える胸が 少しも温もらないのです
それが、どうにも
どうにも悲しくって
穴に入る 小さな風の音を聴きながら
私は 明日も生きるかどうか
悩んでいるのです