ポエム
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他人の書いた詩が嫌いだった

お恥ずかしい話だが

私は、非常に負けず嫌いで

誰にも絶対に負けたくない!と

毎日毎日、思っていた



他人の書いた詩を

他人の描いた絵を

他人の創った物語を

絶対に認めなかった

創ってること自体は敬意を表するが

その作品は凄まじく嫌いだった

『俺の方が、もっと良いものが書ける!』と

『もっと良いものを書いて、ぎゃふんと言わせてやる!』と

いつもメラメラ燃えていた

年上も年下も関係ない

プロもアマもどうでもいい

より良いものを創ったやつが勝ち

そんな頭だった



だがある時

ふと、何気なく読んだ詩に

なぜだか妙に感動した

文に、広がりを感じた

リズムが美しく響いてきた

繊細な魂が伝わってきた

「ああ、良い詩だなあ」と

素直に心から思えた



そしてその時、私は

自分がいかに小さな世界にいたのだろうかと

恥ずかしくなった

勝つだの

負けるだの

子どもがガキ大将を気取って、わんわん吠えているようなもの

何も見えていない

もっとこの世は

私の知らない世界ばかりなのだ

小さな世界で、小山の大将になってどうする

ああ、愚かであった





もちろん、完全に勝ち負けへのこだわりを捨てられた訳ではない

だが、前よりは幾分マシになった

そして、他人の詩が

少しだけ好きになれました



未熟者が

ほんのちょっぴり成長しました




20/09/30 16:47更新 / すっとこどっこい



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