ポエム
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心斎橋の記録
たけたけ、

たけたけが、私をどんなに好きかを云って、

それを全部飲み込みにーくんが、「ちぇけらっ」と云って、跳ね睨んでましたね。

その反応にたけたけが、顔色を変えず片足を長く伸ばして佇んでいました。

その後にーくんが、腕をくんで顎を引いて、

お腹が痛い程面白かったです。

にーくんの猫が、にーくんそっくりで、

大阪の猫は基本人相がわるいが、

目がくるんと大きかった。

可愛がってるうちに、なんだか昔のことを思い出してきて

昔の事、じぶんが可愛いとか、バイトをしていた時に

いつも中古のBMで谷六まで送ってくれて、ついで私が千円するうどん屋に

行きたいのだと連れてもらったら

「高いな。」と言っていたのを、

結局、立ち食いうどんが旨いと、気付いたのではありますが、

「つるとんたん」はそれでも自分の中には余裕で殿堂入りするくらいなので、

連れて行って良かったのだなと、納得しました。

あの頃、気が多かったというより気が遮断されていて、

それを探していたような素振りで、またその自分の素振りが

心細くて、

ひもじくて

こう何でも繊細に感知して、人の顔をあんまり見れない年頃というのを、

満たしていました。



時に道頓堀、一見風情の無い長堀通りでも、

一本中にいくと良い画材屋や、良いアンティークショップがある。

上をみると、お水の看板が立っていて、

大阪はどんどん切り返していかないと流される、とそこで読みます。

濁っているから、ごちゃごちゃして居る、その中でも

光はきらりと見つけやすいから絵画的で至って、詩だと思う。



着物を今更千円で古着を買っている。

着物、新作も何も変わらずに美しいが、町から自分を切り立てる自信というもの

これがなかったので、なんとか折りの羽織も、すすめられた大島を、着ない。

自分の着物を持っていないのに大島を買うのは努力がいる。





感謝祭に向かった時、色んな人を横目にしてあれもこれも着て、

畳を歩き回り、

「いいね、いいね。」と笑っていた。

付き添いが、道路に出た後「皆キツネさんみたいやった、やめとき。」と云ったが、

「知るか。」と考えて、

私はこれが欲しいから、寝る時でも想像をどんどん膨らませた。

少なくとも三代は雑巾になっても残せるので、ハンカチやオブジェになったらまったく安いと思うのだ。

宇宙の、どこを見ても輝きの有る設計を

未だに手にせず。

お金がない事が言い訳にならない程、強力に馴染んでる。


たけたけ、私は着物が欲しい。











21/09/06 08:15更新 / 待作



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