初めて彼と出会った時。

なんて美しいんだと思った。

これが生きるということ。
これが命ということ。

彼がいれば，生きていける。

彼に縋り続けた。
彼がいなくなれば生きていけない。

でも少しずつ，彼が私から離れていく。

新しく生き直せと，彼なりのメッセージだったのかもしれない。

彼は，私の死ぬための理由だったはずなのに，いつの間にか生きる手段になってしまった。

彼がいなければ，死ねない。
彼がいなければ，生きられない。

私は彼の代替を探す。
中々見つからない。

彼が，本当に私からいなくなっていたとしても，私はきっと，彼を忘れることはできない。

どんなに楽しいことがあっても
どんなに幸せだと感じても
どんなに苦しくても
どんなに悲しくても
彼よりも素晴らしいと思える，誰かに出会ったとしても

彼はいつも私の心に残り続ける。

一度出会ってしまったから。

多分，忘れることはできない。