ポエム
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夜に届けたマフラー
ついさっき
じゃあね、気をつけてねって
別れたばかり

夜の帰り道を心配して
外で自転車を見送ってから
部屋に戻ると
椅子に娘が忘れたマフラーがあった

相変わらず忘れるわね
寒くないのかしら
と思いながら
これの為に明日時間を作るより
今渡しちゃおう

電話を鳴らして
やっとつながった
コートはハンガーにかけたままで
私も寒くなかった

それよりも
自転車で急げ急げ待っている
途中のコンビニで待ち合わせ
あれれ、いない

横断歩道の赤信号で
反対側にいた
私は信号一つ手前で渡っちゃったみたい

青信号で無事に渡せた
今度こそ
じゃあね、気をつけてね
って言ったら

 「ばいばい」って娘が言った

お互いに今は
違う家に帰るんだよね
どことなく
我儘っぷりの顔つきから少し不安気に
見えたのは気のせいだよね?

きっと夜も遅いし
いつもより
月が大きく顔を出していたから
そのせいで
なんか見えちゃったんだ

怒るから
絶対に言えないけれど
本当はちょっとだけ寂しい?

どう言っても
明日からも
同じ毎日なんだよね

変わらない
我儘も
たまには良いかもね
まだまだそんな時期よね

どことなく
見上げた夜空が頷いている
やっぱりちょっとだけ寒いかしら
ねぇ、お月さん
21/03/03 00:19更新 / ミルクココア



談話室



■作者メッセージ
しっかり忘れていく我が子よ。
こっちもこっちだけど。

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