忘却への自我のありかた
月夜の晩に部屋でひとり
引っ込んだ釘を無理やり抜いたなら
溢れ出す忘却の血潮に濡れた
抜いた釘は錆びついていた
押さえつけていた忘却の腐蝕に犯されていたのだろう
摘まんだ指先から
さらりさらりと崩れさった
新たに打ち込む痛みに耐えられそうもない
だったら塗りつぶしてしまおうか
でも、傷口を塗りつぶしたところで止まることなく溢れでそうだ
窓辺から月を見上げる
もの言わぬ月は清銀な顔して
夜雲の間に
「いっそのこと流し尽くしてしまえばいい」
「一滴たりとも絞り尽くしてしまえばいい」
そんな言葉を吐くほどに
月がわたしを見ていてくれたのならば
そんな言葉が聞こえるほどに
月との親愛があったのならば
わたしはわたしでいられたかもしれない
引っ込んだ釘を無理やり抜いたなら
溢れ出す忘却の血潮に濡れた
抜いた釘は錆びついていた
押さえつけていた忘却の腐蝕に犯されていたのだろう
摘まんだ指先から
さらりさらりと崩れさった
新たに打ち込む痛みに耐えられそうもない
だったら塗りつぶしてしまおうか
でも、傷口を塗りつぶしたところで止まることなく溢れでそうだ
窓辺から月を見上げる
もの言わぬ月は清銀な顔して
夜雲の間に
「いっそのこと流し尽くしてしまえばいい」
「一滴たりとも絞り尽くしてしまえばいい」
そんな言葉を吐くほどに
月がわたしを見ていてくれたのならば
そんな言葉が聞こえるほどに
月との親愛があったのならば
わたしはわたしでいられたかもしれない