ポエム
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忘却への自我のありかた
月夜の晩に部屋でひとり
引っ込んだ釘を無理やり抜いたなら
溢れ出す忘却の血潮に濡れた

抜いた釘は錆びついていた
押さえつけていた忘却の腐蝕に犯されていたのだろう
摘まんだ指先から
さらりさらりと崩れさった

新たに打ち込む痛みに耐えられそうもない
だったら塗りつぶしてしまおうか
でも、傷口を塗りつぶしたところで止まることなく溢れでそうだ

窓辺から月を見上げる
もの言わぬ月は清銀な顔して
夜雲の間に

「いっそのこと流し尽くしてしまえばいい」
「一滴たりとも絞り尽くしてしまえばいい」

そんな言葉を吐くほどに
月がわたしを見ていてくれたのならば
そんな言葉が聞こえるほどに
月との親愛があったのならば

わたしはわたしでいられたかもしれない
20/02/03 18:12更新 / 九丸(ひさまる)



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