ポエム
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摩訶
気づいたら静寂だった
あらゆる息吹きさえも感じられない
空には月も星もなく
申し訳程度に地上の光に照らされているだけ
一瞬のポケットに入り込んでしまったのか

はあ、と吐息が聞こえてくる
自分のものなのか
それとも沈黙に耐えきれなくなった
夜の影のものなのか
それを合図に堰を切ったように
あらゆる溜まった音が鼓膜を震わせる

街灯に延ばされた自分の影を踏む
一歩、また一歩
やがて影を追い抜き
踏み行くは暗い顔のアスファルトのみ
一歩、さらに一歩

清麗たるには足りず
清廉たるにも足りず
そんな道でも踏めるだけ幸いであり
それに気づけたたげでも潤うようであり

なんとも摩訶な夜の一人歩き
19/11/08 10:21更新 / 九丸(ひさまる)



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