摩訶
気づいたら静寂だった
あらゆる息吹きさえも感じられない
空には月も星もなく
申し訳程度に地上の光に照らされているだけ
一瞬のポケットに入り込んでしまったのか
はあ、と吐息が聞こえてくる
自分のものなのか
それとも沈黙に耐えきれなくなった
夜の影のものなのか
それを合図に堰を切ったように
あらゆる溜まった音が鼓膜を震わせる
街灯に延ばされた自分の影を踏む
一歩、また一歩
やがて影を追い抜き
踏み行くは暗い顔のアスファルトのみ
一歩、さらに一歩
清麗たるには足りず
清廉たるにも足りず
そんな道でも踏めるだけ幸いであり
それに気づけたたげでも潤うようであり
なんとも摩訶な夜の一人歩き
あらゆる息吹きさえも感じられない
空には月も星もなく
申し訳程度に地上の光に照らされているだけ
一瞬のポケットに入り込んでしまったのか
はあ、と吐息が聞こえてくる
自分のものなのか
それとも沈黙に耐えきれなくなった
夜の影のものなのか
それを合図に堰を切ったように
あらゆる溜まった音が鼓膜を震わせる
街灯に延ばされた自分の影を踏む
一歩、また一歩
やがて影を追い抜き
踏み行くは暗い顔のアスファルトのみ
一歩、さらに一歩
清麗たるには足りず
清廉たるにも足りず
そんな道でも踏めるだけ幸いであり
それに気づけたたげでも潤うようであり
なんとも摩訶な夜の一人歩き