ポエム
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もう離れぬように一つに融け合おう
一つ一つの光景に
胸の奥がじんわりと熱を帯びた
やがては広がる


息が苦しい…
今際(いまわ)の際(きわ)に
飲み込まれそうだ だからか?
この手に繋がる数珠を
強く握りしめるのは…



それぞれの祈りが悲願へとなし
やがては 一つの故(もと)へと還る



温もりのない肌に触れた瞬間
悟ってしまった
もう……
"あなた" と "わたし"は
別世界の住人なのだと

だから
『心』に語ってみました


伝えたい言葉はたくさんあるけれど
でも 今は これだけ届けばいい


堅く閉ざされた鉄とびらが
大口開けて あなたを迎え入れる



さあ 準備は整った



重圧なる柩(ひつぎ)が
じっくりと……
ゆっくりと……確実に
戻れない時間に足を踏み入れる


それは 非常に長い 永遠か?
非常に短い 刹那か?
曖昧模糊(もこ)な時が過去る


再び開かれた鉄とびらは
冷淡に思えるほどあっけなく開かれ
切実込めて描(えが)かれた想いは
灰色の塵芥(ちりあくた)と化して
戻ってきた



これが『応えの…返事…?』



解ってはいた
それでもやはり 割り切れない……
後悔も してしないと言えば嘘になるし
実は言うと
最後まで躊躇(ためら)っていたんだ


汝(なんじ)の想いは紡がれた
胸に手をあて 耳をあて
澄してみてごらん?
理論ではなく 心に従うのです



灰になって消えてしまったのではない
そう これは
『あなたへと届いた証』



確かに聴こえた
確かに感じた
傍に感じる
今 共に居ることを━━
強くこの身で実感する


この瞬間だけは聖域
この想いを 守りたい
この想いを 届けたい
この想いを 繋げたいから


もう この手を離さないで
もう この手は離れないから


優しく光る二つの御霊(みたま)
さあ 一つに融け合おう



22/02/05 01:33更新 / 風磨



談話室



■作者メッセージ
祖父母に宛てたもの。
絵を棺に入れて、一緒に焼いてもらいました。
「切実込めて描かれた想い」とは、
この絵をさしています

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