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ちっちゃなバッチ
僕の左胸には、なんでか、
ちっちゃなバッチがある。
バッチなのに痛いんだ。
いつも痛いわけじゃないんだけど。
人と話したりしたり、
誰かが悲しんだり、
嫌なことがあったりすると、
このバッチがある所が痛むんだ。
ズキズキって…。

「なんでこんな物があるの?
痛いよ。苦しいよ。」

だけど「外さないで。」と、
僕のそばで小人さんが言う。
「どうして?」って聞くとね…。

「そのちっちゃなバッチは
君を守ってくれてるんだよ。」って
小人さんは、おかしな事を言い出した。

「そんなの嘘だ!
このバッチのせいで痛いもん。
どこが守ってるんだよ。
こんなのいらない! 外してやる!」

そして僕は、
そのちっちゃなバッチを外そうとした。

だけど、小人さんは、
僕の腕にしがみついて
「外しちゃダメだ!」と、
大声で言うんだよ。

「どうしてだよ!」って
僕も大声で言った。

そしたら小人さんは、
こんなことを言った。

「そのバッチを外すと、
たくさんの気持ちが消えちゃう。
そしたら、たくさんの優しい君も
いなくなっちゃう。
そのバッチがあるから、
優しい君でいられる。
そんな君を守ってるんだ。

勇気づける君もいなくなっちゃう…。
悲しみを分かってくれる君も
いなくなっちゃう…。
バッチがあって、
痛みを感じる君だからこそ、
涙を流せるし、笑え合えたりもする。
そんな君だから助けられる人もいるし、
助けたいと思う人もいるんだよ。
だからね、
痛くてもそのままにしていてよ。」

「うん、わかった…。
痛いのは嫌だけど…
泣いてる人に気づけないのは
もっと嫌だ!
みんな笑っててほしいもんね!」

「約束だよ。外さないでいてね。」

僕の中にもそれがあるんだと思うと、
なんだかこのバッチが
ヒーローのようなかっこいい物に思えた。
ちっちゃなバッチなのに
すごいバッチだったんだね。
22/01/17 20:29更新 / 風磨



談話室



■作者メッセージ
僕について少し語ろうかと思います。
僕がここにいるのは、居場所が欲しかったから…。
自分は皆さんとかけ離れた存在です。
正直ここにいると苦しくなるときがある。
自分はやっぱり違うんだと思うから…。
僕の心は欠落してます。喜怒哀楽が希薄です。
だから僕の詩は、このようにな詩が多いんです。
なにも言わずに見守ってくれると嬉しいです。

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