ポエム
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脳は人を騙す
ある日 あるとき
その女には 片思いの彼がいた

その男と
話をするだけで楽しくて
一緒にいるだけでうれしくて
好きで好きで たまらなかった

昔から知っている、幼馴染みのような
仲の良い兄妹のような
楽しくて 嬉しいだけの日々は
長くは続かない

あるとき ついに
女は耐えきれず 泣きながら告白してしまう
そのときの男の気持ちはどうだったろう
単なる執着、それとも所有欲、支配欲、、、

男は簡単に一線を越えてきた
当然のごとく
しかし、はたして
女にとってそれは望んだことだったか
ただ 心と心が
美しく響き合うことが幸せだったはずなのに
それを 確かめようとして
女は 迷路の森に入り込んだ

それからふたりは
まるで 元々一人の人間であるかのごとく感じる
離れがたい蜜月を過ごす

時が過ぎ
潮がひくように 別れのときがきた
砂を噛むような
ザラザラした別れ

男はまるで 何もなかったかのように
元の暮らしに戻っていった
二度と 女のことなど
思い出しはしない

実は恋していたのは女だけで
男はそれに付き合っただけだったのか

あるいは 女の恋も 男の気持ちも
脳がもたらす ひとときの錯覚だったのか

脳が 女を幸せにし
脳が 男の庇護欲を満たし
脳が ふたりに別れる運命を示す

すべて
脳のもたらす出来事だったのだろうか


20/02/19 20:30更新 / 姫沙羅



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