ポエム
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心を縛るもの
夜に爪を切ってはいけないと
あれほど母に言われてきたのに

私は未だに夜に切る
むしろ昼間より夜のほうが
爪が見やすくて綺麗に切れるのだ

迷信を気にする母だった
あれも駄目これも駄目とうるさかった

いろんなことにこだわりが強くて
自分の価値観で私を縛る
そんな母が嫌いだった

そんな母は人より早く
空へと旅立ちいなくなった

あれからもう19年の時が流れ
気がつけば私はひとりになっていた

今、私は生きたいように
毎日を生きている

迷信を語る人もいない 
価値観を押し付ける人もいない

もしそういう人が目の前に現れても
今の私ならきっと突っぱねるだろう

誰のものでもない
私の人生
やっと自分の足で歩いていける

そんな私が
今になってふと思うのだ

実は母こそが
迷信や価値観に縛られて
苦しかったのではないだろうか?

だとしたら空の上の母は
今は自由を手にして
軽やかにそこにいるのだろうか?

知る由もない母の心

気づけば私も
旅立った頃の母の年齢に
一歩一歩近づいている


25/05/18 23:24更新 / 志月



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