時を刻み続ける
ずーっと昔
卒業祝いに母が買ってくれた
古い腕時計が今も時を刻んでいる
もう数え切れないくらい何回も
ベルトや電池を買い替えた
最近買い替えたのは
一昨年の夏の終わり頃
来年で80歳になるという
品のいい時計職人さんが
ついでに文字盤も中身も
綺麗に掃除をしてくれた
時計職人さんとはその時初対面だったが
今の楽しみはお客さんとこうして会話することくらいだと言って
数年前に御病気で亡くなられたという
奥様の思い出話を聞かされた
その後その腕時計は
何事もなく動いてくれているので
あの時計職人さんのところへは
あれ以来行くこともなくなったが
店の前を通った時にふと見ると
時計屋さんは今でも
平日にはシャッターが開いている
あの電車道路に面したとても古い長屋で
いくつもの空き店舗の間に紛れるように
ひっそりとたった1軒
営業を続けるあの時計屋さん
この先また腕時計の電池が切れた時に
あの時計職人さんの店を訪れてみようと私は思う
何年先かわからないが
その時シャッターは開いているだろうか
その昔
母が買ってくれた腕時計は
私の鏡台の引き出しの中で
今でも静かに時を刻んでいる
思えばこの鏡台も
母が買ってくれたものだった
そういえばこの腕時計は
ふと気がつけばなぜかいつも
針が少し進んでいるのだが
それはまるで私に残された時間が
着実に減ってきていることを
教えてくれているかのようで
そう思ったその瞬間
私は自分の歴史の歯車が
一瞬止まったような錯覚を覚えるのだ
卒業祝いに母が買ってくれた
古い腕時計が今も時を刻んでいる
もう数え切れないくらい何回も
ベルトや電池を買い替えた
最近買い替えたのは
一昨年の夏の終わり頃
来年で80歳になるという
品のいい時計職人さんが
ついでに文字盤も中身も
綺麗に掃除をしてくれた
時計職人さんとはその時初対面だったが
今の楽しみはお客さんとこうして会話することくらいだと言って
数年前に御病気で亡くなられたという
奥様の思い出話を聞かされた
その後その腕時計は
何事もなく動いてくれているので
あの時計職人さんのところへは
あれ以来行くこともなくなったが
店の前を通った時にふと見ると
時計屋さんは今でも
平日にはシャッターが開いている
あの電車道路に面したとても古い長屋で
いくつもの空き店舗の間に紛れるように
ひっそりとたった1軒
営業を続けるあの時計屋さん
この先また腕時計の電池が切れた時に
あの時計職人さんの店を訪れてみようと私は思う
何年先かわからないが
その時シャッターは開いているだろうか
その昔
母が買ってくれた腕時計は
私の鏡台の引き出しの中で
今でも静かに時を刻んでいる
思えばこの鏡台も
母が買ってくれたものだった
そういえばこの腕時計は
ふと気がつけばなぜかいつも
針が少し進んでいるのだが
それはまるで私に残された時間が
着実に減ってきていることを
教えてくれているかのようで
そう思ったその瞬間
私は自分の歴史の歯車が
一瞬止まったような錯覚を覚えるのだ