ポエム
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月の温度
昨日の月は太陽のようで
辺りをビガビガに照らしていた
真っ暗に落ち込む世界に
名前と色を付けていた


こどもの夜は恐ろしかった
おじいちゃんの手に引かれて
どこからともなく おどかすような風

離さないようにぎゅっと握って
ぼんやり見上げていたら 映った
平行に落ちていくUFO
温かな明かりにすがりたかった

温かな窓の内側から
お月見団子をお供えした


若者の夜は冷たかった
ひとりで漕ぎ歩く自転車
真っ暗な湖畔は似た者ばかりで
月だけが冷ややかについてきた

建物に 木に 隠れながらも
いつまでもずっとついてきた

罪悪感を見透かすように
大きな顔で見つめてきた


月の温度は変わらない
悠久の時の中で 今でも
ここの私だけが忙しく
1日 何年 いつどこで


大人の夜はいつもと違う
昨日の月は太陽のようで
辺りを優しく照らしていた
あなたと一緒に見たいと思った
初めてあなたと照らし合わせた

いつまでもずっと見守っていた
22/09/11 20:16更新 / でんしん



談話室



■作者メッセージ
満月に対する印象が変わりがちだなあと思って出来た詩です

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