見てるフリをした液晶の前
突っ伏して誰かの同情を買う真似
続けてたら
起きた頭痛に被害者の名を得て
理由という名の言い訳を漁った

浅くなれば痛み出すこの呼吸が
いっそ止まってくれたらいいのに

帰りたい 帰りたい
もう一度 帰りたい
もう二度と 戻らない
思い出の あの家に

一つ一つの問題に向き合って
疲れて剥がれた化けの皮背負って
真顔で帰る
善良な人達に支えられて
自分だけはそう思えないままの

懺悔の坂くだりながら遠くに想う
幸せのイメージはどうしていつも

帰りたい 帰りたい
あの家に 帰りたい
陰さえも 生きていた
安息の あの家に


違うだろう
陰さえも見捨てる恐怖を
言葉にならない奥底で感じていた
幸せを作ったのはあの家だ
怖さを知ったのは


帰りたい 帰りたくなる
なぜだろう あの家に
懐かしく のしかかる
離れない あの家に

帰りたい 帰りたい
もう一度 帰りたい
離れない 戻れない
あたたかな あの家に

時間とともに削れた記憶
深く残った どうしていつも

■作者メッセージ
嫌いな人でも、亡くしたら良い人に映るのでしょうか
記憶の中で