ポエム
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3等分のフルーチェ
むかし かき氷を売っていたそうで
クリスタルのきれいな器を手に取って
ボウルに作ったフルーチェを丁寧に
3等分して盛り付けた

子どもの胃袋にはそれで充分だった
幸せと知らず 幸せだった


余らしたミルクのやり場に困って
陳列棚からフルーチェを手に取って
1人分をボウルに注いでかき混ぜた
出来たフルーチェをしばらく見つめていた

ボウルいっぱいのフルーチェを
今は僕が独り占めできる
好きなだけ買い足せる
好きな時に食べられる
それがひどく寂しいと思った

クリスタルの器にのった
3人分のフルーチェ
その中の1つがぼくだった
幸せと知らず 幸せだった
25/10/28 18:34更新 / でんしん

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