ポエム
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我が半生
どうせ読む人はいないけれど
どうしてだろうか 止められない
忘れていくこと 何もかも
都合の悪いことも そうでもないことも

習い事の送り迎え
惣菜の詰め合わせ
愛されたことがないなんて
なんてこの体は欲ばりなんだろう

年端もいかぬあの頃は
きっとあの人も笑っていただろうか
母の喜びも 父のことも
知らない 知らない 思い出せない

消しちゃったらしいセーブデータ
謝れなかったモヤモヤ
都合のいいことだけ鮮明に残る
過去を花で飾る


美味しかったな 野菜炒めが
手を繋いで歩いた道のりが
きっと私が欲しかったもの
形が違っただけ

愛されなかった人生は
歳を経る毎に疑いを増す
兄の足蹴も 姉の目も
居心地がよかったのだと知る

記憶が私を作るなら
日毎 薄まり戻らない
ならばそれは偽だ 前を向けと
私の声が過去をなお崩す

どうせ読む人はいないけれど
たったひとつの記憶の本
たまに表紙を開く度に
またひとつ 落丁が増えていく
25/08/25 15:30更新 / でんしん

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