この世の全てをハッピーエンドにすることはできないのだろうか
そんな単純な願い事さえ、夢物語なのだろうか

激高の渦に飲まれて破れてしまった漫画本
畳に残るシミはそのことをまだ覚えている

団欒の長テーブルは それも昔
今はその面影もなし
耳と目を塞ぎ騒ぎ出す大人たち
全てが終わったら天使になって
全てを包み込めたらいい
お許しください
今世にはひとつだけ 垂れた糸


あったかいお茶が飲みたいんだけれど
誰も淹れ方を覚えていない

神様 何なら叶えてくれるんだ
こんな単純な願い事さえ、贅沢品なのだろうか

解ってもらえないから
解ってもらわなくていい
不満の席などない それなのに
座布団ひとつ余らして
ついに泣き出した炊飯器
静かにしてなさい
今ここではそれが最善


扉開けば 身勝手の遺伝子
大図鑑に載るろくでなし
その奥底は同じ寂しい気持ち
感情論も正論もみな等しく強いから
黙っていなさい
拳を握りしめ

全てが終わったら天使になって
全てを包み込めたらいい
解ってください
誰も掴めない 垂れた糸