斜陽の差したセピアのフロア
居残ったまんまの体育館
眉間の寄ったセンセイが言った
言葉に疑念は持てなかった

「この子が死ねと言ったら、君は死ぬんですか」
黙って頷く その目は真っ直ぐ

あなたがやれと言ったから
それは言霊 私の背中を押す
か弱く 駄目な私の価値より
もっと もっと強い力だもの


あなたのために死ねたなら
じゃなくてもいい 誰だっていい
私以外の何者かのために
この命が使えるのなら

考えすぎって言わないでほしい
そんな大層なことではない
行き場などない私の意思が
無限に頭を回っているだけで

あなたがやれと言ったから
命運を決めることすら他人任せ
だって任された私の仕事は
こんな こんな重たく在るもの


ひとつ願うなら
大空を羽ばたく解放の夢よりも
あなたのために咲く
喜びの笑顔が二輪だけ欲しい