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街路樹が黄緑すぎる
この町の目抜き通りというには、閑散としすぎている通りに街路樹が一本ずつ、左右等間隔に並んでいる。

街路樹が黄緑すぎる。

盆地の一番北に位置するこの町に、この黄緑は見つかわしくはない。
取って付けたようなこの黄緑は、絵の具箱から出したようなこの黄緑は、
この町には、黄緑すぎる。

通りをまっすぐ行けば、新しくできた自動車専用道路がある。
道路からの景色には田んぼが一面広がっている。

田んぼの緑を見習うがいい。
水入れを待つ田んぼは、
代かきを待つ田んぼは、
桜のピンクを引き立たせるための田んぼは、
土でくすんだ緑色をしている。
濃い緑色をしている。

一方で、やはり街路樹は黄緑すぎる。
その黄緑は、まるで公民館のポスターに使われるような薄っぺらい黄緑色だ。

この黄緑は、新しく息吹くこの黄緑は、
むしろこの街の衰退の証なのかもしれない。

それならば、やはりこの黄緑も、この街の色なのだろう。

この街に似つかわしくない、パステルでフレッシュなこの黄緑の街路樹が、
濃い緑へと、そして薄く枯れた茶色へと去っていく姿を想像することで、
私はその黄緑を厭んでいる、そして受け入れているのだと気づいた。

それならば、次の年も黄緑すぎる葉を待ちたい。
25/04/23 16:43更新 / 角尾



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