ポエム
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ため息のサイン
その時 キミがため息をついた
テレビのものまね決定戦に
笑い転げてた僕の後ろで
不意に 重いため息をついた

 志望校への合格ラインに
 なかなか届かなかった時
 キミのパパが 僕たちのこと
 いい顔してくれなかった時
 入社してすぐ 残業続きで
 仕事がうまく進まなかった時
 友達から やっかいな相談を
 持ちかけられて困った時
 僕が連日 出張続きで
 1ヶ月も逢えなかった時
 同じ部署の男子社員に
 しつこく言い寄られた時
 僕の前で 何の前ぶれもなく
 キミが ため息をついた時
 
でも しばらく聞かれなかったから
何となく気を抜いてたみたいさ
とりたててお互い不満もなくて
平穏な日々が続いてたから
無防備に安心してたんだ

 キミが 不意にため息をついた
 今までになく 重く響いた
 さっきまで笑い転げてたテレビ
 反射的にスイッチを切って
 僕は思わず キミの方を見た

そういえば 会話らしい会話
久しくキミとしてなかったっけ
毎日のように逢ってはいるけど
こんな風にウダウダしてばかり
平穏な日々に安心しきって
そんな自分に麻痺してたこの頃
「久しぶりに海でも観に行こうか」
キミが即座に笑顔に戻ったら
車のキーを手に立ち上がって
足早にふたり 玄関に向かう
これからだと 夜明けには早いから
途中にある 深夜レストランで
コーヒー何杯もおかわりしよう
昔いつもそうしてたみたいに

 また キミがため息ついてみせた
 冗談ぽく ニッコリ笑うのが
 暗い車内でも ちゃんとわかるなら
 こんな僕たち きっと大丈夫
24/02/21 12:30更新 / 春原 圭



談話室



■作者メッセージ
そのサイン、あなたは気づけますか?

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