ポエム
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変わりゆく夜景
今にきっと ここからの夜景も
百万弗の値をつけるだろう
何年かぶりに訪れた
丘の上のキャンパスの午後八時

 郊外都市建設推進
 一大ベッドタウン建設
 都心直通電車乗り入れ
 大手デパート進出計画
 自動車道路開通予定
 灯りもまばらな暗闇ばかりの
 あの夜たちがウソのような
 光の連なりを見つめてた

周辺に何もないおかげで
学内施設はやたら充実
4階のテラスの窓から
臨む夜景の明らかな変貌は
とりもなおさず 僕の季節の
移ろいの速さに他ならぬのか
あの頃よくキミと座った席
アイスティーをひとり飲みながら
光の帯の手前あたりに
学生アパート並ぶ一角
あの部屋にキミはもういない
そんな当たり前なこと考えて
ふと ため息などついてみた

 造成工事は急ピッチで
 今も絶え間なく進んでる
 山がまたひとつ削られて
 想い出がまたひとつ削られて
 団地がひとつずつ並べられて
 現在がひとつずつ並べられて
 変わって行くのは光景ではなく
 僕たちの気持ちかもしれないね

キミはきっと新しい暮しに
僕をまたひとつ削り取って
現在が幸福ならそれでいいよね
きっと僕の現在が楽しければ
こんな夜景もステキなのかも
アイスティーを一気に飲み干した
4階のテラスの窓際の席

 今にきっと ここからの夜景も
 百万弗の値をつけるだろう
 発展途上のニュータウン臨む
 丘の上のキャンパスの午後八時
23/12/25 21:11更新 / 春原 圭



談話室



■作者メッセージ
40年も前のことだからね。この詩で描かれてるこのキャンパスから見下ろす『ニュータウン』が『オールドタウン』と呼ばれるようになってからでももう10年以上になりますから…。

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