オフクロや叔母さんたちと一緒に
厨房で女同士の会話に花を咲かせてる
そんなキミを見るのが少しつらいよ

　最後に逢ったのは　遠い春休み
　セーラーのスカーフが揺れてたよね
　僕と叔父さんと　キミの旦那と
　水割り片手の男同士のリビングに
　ピーナッツの小鉢を運んでくるキミは
　あの頃の僕の気持ちは知る由もない

今もまだひとりでいるのは
もちろんキミのせいではないけれど
庭先のビニールプールで水かけ合った
虫取り網と伴創膏の季節が
二度と戻らないのを改めて思い知る
となりにちょこんと座ったキミの娘に
舌足らずな声でおじちゃんと呼ばれて
返した笑顔はきっと　５歳の僕さ

■作者メッセージ
片思いの相手が身近過ぎるのも…、ね。