ポエム
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つまりは悲しいわけで
生きてゆくのが悲しいなんてこと
誰だって知ってるわけで
だからみんなそんなことはなるべく
考えないようにしてるわけで
けれど何かの拍子にフッと
頭の中をよぎるわけで
つまりはそんな自分自身が
何よりも悲しいわけで
いても立ってもいられないわけで…

 誰もいない真っ暗な部屋に
 帰ってきて灯りをつけた時
 何の変哲もない部屋の中が
 とてもむなしく映るわけで
 そんな空気に耐え切れず
 テレビのスイッチをひねるわけで
 モニターの中に映った
 マルチタレントとかいう人種の
 何も考えてないような笑いが
 こっちのむなしい気持ちを
 よけいに刺激してくれるわけで
 結局テレビのスイッチを切り
 仰向けに寝転んだまま
 裸電球見つめてるわけで…

ひとりの部屋では飲みたくなくて
近くの飲み屋にはいったわけで
それでもひとりじゃむなしくて
あいつを店に呼んだわけで
いろいろ語り合ってはみても
まるで心は晴れないわけで
別の友達呼んでみても
同じことみたいな気がするわけで
結局酔えない気分のまま
ひとりの部屋に帰るわけで…

 こんなやるせない気分の俺を
 なぐさめてくれるような女は
 残念ながらいないわけで
 もっともそんな女がいて
 どんなに尽くしてくれたところで
 気が晴れるとは思えないわけで…

つまりはどんなにもがいてみても
悲しいものは悲しいわけで
そこから逃れる術なんて
俺にはただひとつしかないわけで
それ以外には何もないわけで
俺はカビ臭いふとんにくるまり
ひとり 眠りにつくのでした…
25/05/25 17:51更新 / 春原 圭



談話室

■作者メッセージ
前略
生きてくことは悲しいわけで
悲しいからまた生きてくわけで…

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