旧友
独り暮らしを始めたとたんに
恐ろしく筆まめになった
毎日誰かに手紙を書いてた
その相手はいつも違ってた
今まで共にすごしてきた
数多くの友人たち
その誰もが親友と呼ぶのに
ふさわしいやつらばかりだった…
向こうから手紙をよこすやつもいた
必ず返事をくれるやつもいた
ナシのつぶてのやつもいた
電話ですませるやつもいた
「旧友にだけはなりたくない!」
やつらの書いた一文字一文字に
心のつながりを感じ取ってた…
やがて新しい友人もふえ
こちらの付き合いも固まってきた
けど変わらず手紙を書いてた
去る者日々に疎しの法則
頭では理解してはいたが
そうだけはなりたくなかった
次第に減ってゆく返信に
苛立ちを感じ始めてた…
減ったのは返信だけでなく
久しぶりに帰郷した時に
集まる回数も同じだった
それは僕だけというわけではなく
あいつらも同じのようだった
次第にお互いがお互いに
旧友へと変わりつつあった…
そんな状況を憂えた手紙が
やつらの間に波紋を呼んだ
かつての僕たちであったなら
何ということもない言い回し
それがいたづらにやつらを刺激した
僕はあちこちから非難を浴び
連絡の行き違いも手伝って
気まずさが慢性化していった…
それから何年かの時が経ち
やつらとの交流はめったにない
それはやつらも同じに違いない
だけど決定的に違うこと
旧友になりたくなかった僕は
旧友ですらなくなってしまった
腐ってしまった旧交は
あたためても異臭を放つだけ
僕は恐ろしく筆不精になった…
恐ろしく筆まめになった
毎日誰かに手紙を書いてた
その相手はいつも違ってた
今まで共にすごしてきた
数多くの友人たち
その誰もが親友と呼ぶのに
ふさわしいやつらばかりだった…
向こうから手紙をよこすやつもいた
必ず返事をくれるやつもいた
ナシのつぶてのやつもいた
電話ですませるやつもいた
「旧友にだけはなりたくない!」
やつらの書いた一文字一文字に
心のつながりを感じ取ってた…
やがて新しい友人もふえ
こちらの付き合いも固まってきた
けど変わらず手紙を書いてた
去る者日々に疎しの法則
頭では理解してはいたが
そうだけはなりたくなかった
次第に減ってゆく返信に
苛立ちを感じ始めてた…
減ったのは返信だけでなく
久しぶりに帰郷した時に
集まる回数も同じだった
それは僕だけというわけではなく
あいつらも同じのようだった
次第にお互いがお互いに
旧友へと変わりつつあった…
そんな状況を憂えた手紙が
やつらの間に波紋を呼んだ
かつての僕たちであったなら
何ということもない言い回し
それがいたづらにやつらを刺激した
僕はあちこちから非難を浴び
連絡の行き違いも手伝って
気まずさが慢性化していった…
それから何年かの時が経ち
やつらとの交流はめったにない
それはやつらも同じに違いない
だけど決定的に違うこと
旧友になりたくなかった僕は
旧友ですらなくなってしまった
腐ってしまった旧交は
あたためても異臭を放つだけ
僕は恐ろしく筆不精になった…