よだかの星
中学生 いじめを苦に自殺!
毎度毎度目につく記事の見出しに
今ではインパクトも何もなくて
チビで猫背の貧相な彼は
髪はボサボサ 顔は不細工
いつも自信なげにオドオドしてた
クラスによくいるいじめっ子たち
目が合うたびに小突かれまくり
他のみんなも取り巻きながら
自分を指さし 嘲笑ってた
ある日の放課後 片想いの彼女が
下駄箱の前 つまずいて
カバンの中身 床にぶちまけた
コロコロ転がる筆入れを
彼はかがんでその手に取り
ノートとかを拾い集める彼女に
駆け寄って そっと差し出した
彼女はそれを乱暴にひったくり
けがらわしそうな眼を向けた
そして そばにいた友達と
3人で指差して罵られた
同姓同名の生徒が
となりのクラスにひとりいる
ある日 公園の前で呼び止められて
「おまえみたいな汚いやつが
俺と同じ名前なんて許せない
おまえは明日から名前を変えろ
そうだ『イチゾウ』って名はどうだ
うん おまえは明日登校する時
『イチゾウ』と書いた札を首から下げて
僕は今日から名前を変えましたと
全校に宣言して歩くんだ」
カッターナイフをもって脅された
中学生自殺の新聞記事が
翌朝の社会面に載った時
さすがに生徒たちは驚いた
みんなの反応はさまざまで
半ばこの日を予期してた者
おもちゃがなくなって残念な者
せいせいしたと溜飲下げた者
だけど 涙を流した者は
果たしてどのくらいいたのだろう
昨夜 星がひとつ増えたはずだが
都会では見えるはずもなくて
「あの莫迦 死んじまってやんの」
教室はいつも通り騒がしくて
夜空にやけに大きな星ひとつ
誰ひとり気づく者もないまま
そっと静かにきらめいていた
毎度毎度目につく記事の見出しに
今ではインパクトも何もなくて
チビで猫背の貧相な彼は
髪はボサボサ 顔は不細工
いつも自信なげにオドオドしてた
クラスによくいるいじめっ子たち
目が合うたびに小突かれまくり
他のみんなも取り巻きながら
自分を指さし 嘲笑ってた
ある日の放課後 片想いの彼女が
下駄箱の前 つまずいて
カバンの中身 床にぶちまけた
コロコロ転がる筆入れを
彼はかがんでその手に取り
ノートとかを拾い集める彼女に
駆け寄って そっと差し出した
彼女はそれを乱暴にひったくり
けがらわしそうな眼を向けた
そして そばにいた友達と
3人で指差して罵られた
同姓同名の生徒が
となりのクラスにひとりいる
ある日 公園の前で呼び止められて
「おまえみたいな汚いやつが
俺と同じ名前なんて許せない
おまえは明日から名前を変えろ
そうだ『イチゾウ』って名はどうだ
うん おまえは明日登校する時
『イチゾウ』と書いた札を首から下げて
僕は今日から名前を変えましたと
全校に宣言して歩くんだ」
カッターナイフをもって脅された
中学生自殺の新聞記事が
翌朝の社会面に載った時
さすがに生徒たちは驚いた
みんなの反応はさまざまで
半ばこの日を予期してた者
おもちゃがなくなって残念な者
せいせいしたと溜飲下げた者
だけど 涙を流した者は
果たしてどのくらいいたのだろう
昨夜 星がひとつ増えたはずだが
都会では見えるはずもなくて
「あの莫迦 死んじまってやんの」
教室はいつも通り騒がしくて
夜空にやけに大きな星ひとつ
誰ひとり気づく者もないまま
そっと静かにきらめいていた