ポエム
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水の底


蝉の唄聲遠のくような
目眩でふらつくプールサイド

耳を塞いだ水圧と
指先で踊る小さいあぶく

笑い合った
いつかの記憶

ひとり一夏
終わりを詩う


泳ぎもしないで浮いていた
あの夏の日々を睨んで
悪態をつく

本当は、なんて
言いたくもなかった

楽しすぎて溺れて
自信過剰と敵視に怯え

独りでいれば楽だって思っていた
今だってそうなんだ

傷付けるのも傷付けないのも
僕には難しい言葉

色が溶けてゆく

制服脱ぎ捨てても未だ子ども

繰り返す季節

同じようでちがうもの

繋いでいた掌は
もう何処にも無い

全部無視して逃げ出した夏


背中に感じたプールの底
楽しいだけの独りきり

思い出せない
いつかの記憶

どうでもいいと投げ捨てた
全部ぜんぶ水の底

21/10/15 12:04更新 / 詩音



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