ドグラ・マグラ
壊れた時計
螺子巻き式の心臓
カビの臭い部屋の中
行ったり来たりする
時計の音が
やけに大きく聞こえて
吊電球に蝿が止まっている
わたしは一体誰だろう
どうやって此処に来たんだろう
何となくで息をしていた
鏡の中のわたし
こんな顔だったっけ
わたしは一体何に成るんだろう
何処に行くんだろう
珈琲はとっくに冷めていて
酸味を増して口に広がる
最悪な気分
でも
それもどうでもいい気分
全てを手放して
軽くなった頭の中を
振り回して確かめる
わたしに残ったものなんてない
闇に溶けて消えて逝く
1本の蝋燭にでもなった気で
理の記憶から
名前も知らないアナタを求める