夕差す窓際
大きくて閑静な図書館の一角
昔読んだ本の続巻を手に取り
左耳にイヤホンをつけてから
半個室の席にゆったりと座る
特に音楽を聴くわけではない
周りが五月蝿いわけでもない
ただその方が落ち着けるだけ
安心するための下準備なだけ
午後四時ちょうどに一人きり
その日の予定をすべて忘れて
目の前の読みたい本を楽しむ
図書館に来れば誰でもできる
けれども限りなく贅沢な時間
閉め切られたカーテンの隙間
少し雲が浮く青空が顔を出す
その下は住宅街の屋根たちが
沈みだした日の光を橙に映す
今は秋だし、朝方でもないし
山は見えない人工の景色でも
紫立ちたる雲の
細くたなびきたる──
私の瞳は今、この一時間だけ
清少納言の瞳を預かっている
昔読んだ本の続巻を手に取り
左耳にイヤホンをつけてから
半個室の席にゆったりと座る
特に音楽を聴くわけではない
周りが五月蝿いわけでもない
ただその方が落ち着けるだけ
安心するための下準備なだけ
午後四時ちょうどに一人きり
その日の予定をすべて忘れて
目の前の読みたい本を楽しむ
図書館に来れば誰でもできる
けれども限りなく贅沢な時間
閉め切られたカーテンの隙間
少し雲が浮く青空が顔を出す
その下は住宅街の屋根たちが
沈みだした日の光を橙に映す
今は秋だし、朝方でもないし
山は見えない人工の景色でも
紫立ちたる雲の
細くたなびきたる──
私の瞳は今、この一時間だけ
清少納言の瞳を預かっている
25/10/23 16:09更新 / しゃぼん玉