港の音
港の音が聞こえてくる
今日は確か祭りがあっていた
すっかり忘れてしまっていた
コロナで久しくやっていなかったのだ
潮風は4年前を連れてきた
私は孤独にあそこにいた
友人と祭りのバンドの演奏を聞いていたが
しかし独りだった
私の中には3人いた
1人は能天気でいつも笑顔で皆に愛された
1人は真面目で活発で教師からも好かれていた
1人は引っ込み事案で皆から嫌われていた
私さえも嫌っていた
しかし家族は彼を愛していた
4年前、私は自分の正体が分からなかった
まるで自分が誰かのドッペルゲンガーのようだった
きっと私がどこかで本物と会ってしまったせいで
本物は消えて私が本物を代行するようになったのだ
しかし、私の海は私に問うた
本物などはなから無いのだと
私は彼女に問うた
では私の存在自体が殻なのかと
彼女は答える
全ての殻の総和として魂は存在するのだと
潮風は楽しげな音を運んでくる
港の人は夜空に光るどんな星よりも輝く
いま再び心の海に耳をすます
彼女は言っていた
君は月だ
私は君に導かれやってきたのだ
私は答える
いや、きっと君を呼んだのは星だ
私ではない
彼女は言う
しかし、いまの君は私を必要としていた
だから私は再び問いにきた
潮風は4年間の思い出を連れてきた
それは時に苦く
時に甘く
時に冷たく
時に暖かい
彼女は問う
君の中には誰がいるのかと
私は大きく潮の香りを吸って答える
私の中には私だけがいると
彼女は満足げに引いていった
君は遂に自分自身で君を抱いたのだ
彼女はそう言い残した
顔を上げると、花火が満天の星空を綺麗に彩っていた
今日は確か祭りがあっていた
すっかり忘れてしまっていた
コロナで久しくやっていなかったのだ
潮風は4年前を連れてきた
私は孤独にあそこにいた
友人と祭りのバンドの演奏を聞いていたが
しかし独りだった
私の中には3人いた
1人は能天気でいつも笑顔で皆に愛された
1人は真面目で活発で教師からも好かれていた
1人は引っ込み事案で皆から嫌われていた
私さえも嫌っていた
しかし家族は彼を愛していた
4年前、私は自分の正体が分からなかった
まるで自分が誰かのドッペルゲンガーのようだった
きっと私がどこかで本物と会ってしまったせいで
本物は消えて私が本物を代行するようになったのだ
しかし、私の海は私に問うた
本物などはなから無いのだと
私は彼女に問うた
では私の存在自体が殻なのかと
彼女は答える
全ての殻の総和として魂は存在するのだと
潮風は楽しげな音を運んでくる
港の人は夜空に光るどんな星よりも輝く
いま再び心の海に耳をすます
彼女は言っていた
君は月だ
私は君に導かれやってきたのだ
私は答える
いや、きっと君を呼んだのは星だ
私ではない
彼女は言う
しかし、いまの君は私を必要としていた
だから私は再び問いにきた
潮風は4年間の思い出を連れてきた
それは時に苦く
時に甘く
時に冷たく
時に暖かい
彼女は問う
君の中には誰がいるのかと
私は大きく潮の香りを吸って答える
私の中には私だけがいると
彼女は満足げに引いていった
君は遂に自分自身で君を抱いたのだ
彼女はそう言い残した
顔を上げると、花火が満天の星空を綺麗に彩っていた