ポエム
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残心
残心

こびりついていて、鮮明なほど

目が覚めた時に見えてた景色が

時間と共に薄れていくのを

ただバカみたいに突っ立って

その様を見ていた

綺麗なほど捻じ曲がった記憶を頼りに

奥底の現実が夢を見て笑う

手を伸ばした先

確固たる君の微かな残滓が

指の間を嘲るように通り抜け消えていくのを

ただ感じているだけ

残り香を頼りに

記憶の固執を丁寧になぞる

再構築された景色には秩序がなくて

見えてたものも

いびつに撓む君の影も

それすら愛しい

溶けた鈍色の蝋が

キャンバスに重い線を落としている

夢に見た世界は大概歪んでいて

醜いまでに眩く映る

声も仕草もたぶん違う

顔だってもう覚えてないけれど

僕の一番深いところが

曖昧な君のひしゃげた輪郭は確かに君だと

固執に歪む君も

それを許さない世界だって

馴染んで消えていくのを待つ時の流れでさえ

見惚れてしまうくらい

残酷で、確かな情がそこにはあって

なればこそ美しい

ああ

なんて
20/11/13 12:02更新 / 初冬



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