ポエム
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まかない
食べてく為に 我慢噛み締めて
何事もなく今日が終わる
水道水の音も弱まっていく
大量の食器も片付いてきた

厨房の隅では
バイキングで残った
料理が並んでいて
いつも通り 遠慮がちに
近づいていく

数人のスタッフに混ざり
代わり映えしない 不人気料理を
空腹に詰め込んでみる

夕食代が浮くなら
何が入っても同じだけど
やっぱり帰りに
コンビニに寄ろうかな?

腹八分目さえ満たせない
きっとまかなえないのは心のほう
こんな生き方しかできないと
選択することも忘れていた
出来るだけ少ない小銭で
買っているのは
小さな抵抗と自由

また明日も 明後日も
大量の食器たちが
ホールへ出動して
夜遅く洗い場の帰路へ着く
ただ黙々と役目をこなす
いつのまにか 僕も
その中の「それらと」と化すんだ
20/05/19 16:53更新 / アッシュ



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