ポエム
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歩くだけが
農場の牛たちが
横目でジッと見つめてくる
人間のでない眼差しに
人の姿を映す
牛から見る私はこの私ではない
そのことに安心すらおぼえる
牛はただ牛でいてくれる
牛糞の強烈な匂いがむおと鼻にぶつかる
人を最後に笑わせるのは
うまいしゃれでも高度な文明でもなく
この循環の愛児でないかとか
そんなばかなことも考える
近所の老人が犬を連れている
これまた柴犬の屈折のない眼差し
気のいい老人は私に挨拶をして
話しかけまでしてくる
二言三言交わして
軽く笑って別れた
人付き合いにはどうしても不味いものがまじる
この小さくも不穏な邪気をもて余す
白い朝日が無機質にまぶしく
山々が遠く連なってくれている
こうしてただ歩くだけの能無しであれたらいい
そして今日もまた
いくらか荷負い、どっかりおろして
しがない一日が終わる
24/01/11 00:37更新 / あののの



談話室



■作者メッセージ
人は歩き回る中でいろいろ考える生き物のようです

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