歩くだけが
農場の牛たちが
横目でジッと見つめてくる
人間のでない眼差しに
人の姿を映す
牛から見る私はこの私ではない
そのことに安心すらおぼえる
牛はただ牛でいてくれる
牛糞の強烈な匂いがむおと鼻にぶつかる
人を最後に笑わせるのは
うまいしゃれでも高度な文明でもなく
この循環の愛児でないかとか
そんなばかなことも考える
近所の老人が犬を連れている
これまた柴犬の屈折のない眼差し
気のいい老人は私に挨拶をして
話しかけまでしてくる
二言三言交わして
軽く笑って別れた
人付き合いにはどうしても不味いものがまじる
この小さくも不穏な邪気をもて余す
白い朝日が無機質にまぶしく
山々が遠く連なってくれている
こうしてただ歩くだけの能無しであれたらいい
そして今日もまた
いくらか荷負い、どっかりおろして
しがない一日が終わる
横目でジッと見つめてくる
人間のでない眼差しに
人の姿を映す
牛から見る私はこの私ではない
そのことに安心すらおぼえる
牛はただ牛でいてくれる
牛糞の強烈な匂いがむおと鼻にぶつかる
人を最後に笑わせるのは
うまいしゃれでも高度な文明でもなく
この循環の愛児でないかとか
そんなばかなことも考える
近所の老人が犬を連れている
これまた柴犬の屈折のない眼差し
気のいい老人は私に挨拶をして
話しかけまでしてくる
二言三言交わして
軽く笑って別れた
人付き合いにはどうしても不味いものがまじる
この小さくも不穏な邪気をもて余す
白い朝日が無機質にまぶしく
山々が遠く連なってくれている
こうしてただ歩くだけの能無しであれたらいい
そして今日もまた
いくらか荷負い、どっかりおろして
しがない一日が終わる