そこに、すべてがあった
あの日の僕が
両親と衝突を繰り返してはもがいていたこと
その二年前の僕が
文章を書くことに目覚めた折り
思わず川原を駆け抜けていたこと
とくに二つ目なんて
君はコントのようにしか受け取らなかったろうし
一つ目にしたって
朗らかな家族愛に生きてきた君は
たぶん根っこから理解してはくれなかったろう
それは僕の方もそうで
君の聞かせてくれた彼との電話の話
毎晩1時間なんて
気が触れてるとしか思えなかった僕を
どうか許してほしいと思う
でも考えてみれば
それは現在進行系の話だったから
つまるところ僕は君の
情熱的な君の部分を
ないことのようにして君に接していたわけだ
それを言えば君もでも
僕の詩作の趣味なんて知らなかったよね
(言えるはずもなかった)
互いにそこまで歳を取っているわけではなくとも
それでも振り返れば長い
長い長い生の
そのほんの切っ先同士として
さらにはそのさらに一部分同士として
相まみえていたろう僕ら
それでもそこに
すべてがあったということ
少なくとも
そう思えたということ
変わることなく君が
君の人生を歩んでゆけますように