対の剣士のように
仕事の、
それも掃除をしているときが
日々のなかで1番に楽しいだなんてね
詩作に
音楽を聴くこと
それらがその次
いや、やっぱり
ご飯を食べているときかな?
…なんて2番目は何気に迷うのだけど
1番にかんしては寸分の迷いもない
"スゴイねぇ~!"
もし僕が彼女にそれを言ったら彼女は
少年のように爽やかな笑顔を返してくれると思う
あどけない雰囲気でありながら凛、
とした表情での流れるような掃除には寸分の隙もなかった
彼女は4ヶ月ほど前まで僕の教育係をしてくれていた
そんな彼女に近い存在として自分をイメージできるから
僕は彼女みたいにテキパキ掃除しようとするのが好きなんだろな
あるときは
「〇〇さん、彼女いるの~?」と上目遣いで妹のよで
またあるときは
「ダメダメね~」と颯爽と歩きながらの苦笑いをして姉のよで
君は妹なの?姉なの?
一体全体どっちなんだい…?
そう撹乱されまたその錯乱に酔いもしたものだけど
でもやっぱり爽やかな彼女が1番!、と
そう健康的に(?)思えるいまの気持ちを大切にしたい
胸の1番切ない部分を掻き乱される体験にはもう手を振りたい
それは一瞬の感覚を肥大化させてるだけのような気がするから
恋人が出来れば現に彼女は妹でも姉でも
もちろん母でもあり得ない
そうではなく凛、
とやはり
安定して身を浸してくれる凛々しさにこそ僕は胸を預けたい
あたかも対の剣士となって
ともに煌めく海を眼差せる
そんな強い女(ひと)の左手にしかと
この右手を繋ぎたい
そっとしなだれかかってくる和やかな腰に
やや無機質な細い腰を
それでもやさしく
しかと触れ合わせながら