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母との電話から大切なことを悟る

久々に母から電話がかかってきた。自分でもびっくりするくらいに上機嫌に話していた。母も上機嫌だった。「ニトリはあまり品揃えはよくないけど、いいものがあるのよ」「ええ、そうなん?僕は広いフロアに色んなものがいっぱいあって、どれ買うか迷ってしまうぐらいやなあって思ったけど、逆に」…なんて、昔だったら非本質的でどうでもいいと思っていたろう、日々の些細な話が楽しかった。お互いノリノリで話し合った。詩情もひったくれもなかったけれど、ホントに楽しかった。自分が、話好きのおばちゃんみたいなおじさんに思えた。

40手前の男が母と話して自分を理解するというのも情けないかもだけど、ともかく思った。生活の方に行きたいと、そう自然に強く思った。もちろん、それはそれとして文章修行は続けていくつもりだけど、なによりもまず、生活こそが自分にとって一番大切なのだと確信できた。

それにしてもいま振り返るに、なんであんなに美人美人言ってたんだろ?心地よく会話できる女(ひと)が一番に決まってる。まったく容姿にこだわらないとは言わないけれど、たとえば、けっこういいんじゃないですか?と思う人とめちゃいいじゃん!と思う人への、その好感度の差なんて、そのじつ、ともに過ごす歳月によって、あっという間に埋めれてしまえるものなんじゃないかな。諦めるでもなく、妥協するでもなく、ひとえに希望が満ちてきた―そんな母との電話だった。


25/04/09 15:07更新 / はちみつ



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