舐めんじゃないわ(!)
ぶ厚く厳しい辞書に陽当たる朝
起きるや凛と背伸ばす眼鏡娘
時空ひらけて
瞼閉じれば風の波
まろやかに舞い
文字列
残影
木陰で海描く少女の記憶
「変わってねえなァ」―
―とそれは幼なじみの幻影だ
音一つない部屋ホコリ見るなり新時計
こうね?
チョチョっとね?(カチカチ、チチチ…)
ホーラ、
動いた!
コクリと頭下げる眼鏡娘の胸に焔メラメラ
クククッと何もかもが動いてくこの田舎町でただ一つ
スーッと空へと薄緑の
ホントにうっすい薄緑色の方程式をたなびかせたいと祈ってる
ピチピチと網の上で跳ね踊る魚たち彼を吸い込み―
―"ハハッ、なぁオレ、魚みたいな娘(こ)と結婚することになったんだぜ!?"
"ホントに魚みたいに、愛らしんだ"泥に型どられた2人の足跡は
外に出ると
新緑が鮮やかだった
指でそっと
葉の緑に触れてみた
せめて母から
家事の支配権を取り戻そうか
いや―
部屋に戻った
ホコリを被った白の羽根ペンを手に取ってみた
さあ
マーブルおばさんの店に行こう
そしてピッカピカのノートを買うんだ
私の足跡
舐めんじゃないわ(!)