ポエム
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水色の海

純真さのうち仄かな邪気秘めた娘(こ)牛の
産地5月プラットホーム量産型(ファッション)の
黒のリボンせわしない人流れのなか(人流れから)彼女護りて→

→僕のアパート、タム・ラム・タ・ラ(ベトナム語で"ごちゃごちゃ")
たらこ唇おにいやん(僕のこと!)
どデカいメス牛海原を飛び
薄緑色のカーテン開ければセピア色の風→

→凛とした、
だけど40半ばの"お姉さん"
深紅のカーペットの上を
月に照らされ歩き来たる
胸は無いけど女豹のような腰つきでリン(!)、
鈴の音(ね)が、
そっと響けばそいつ(彼女)へさざ波、
ヒタヒタと、
歩み来て歩み来たりて、あるときには、
秋口の澄み渡るような朝抜ける、
登山用のようなカッコで歩んでキタ

まるで胸中の地図の、
遥か北の方からあいつは…蕾
海獣の香りで煮詰められツボミ→

→ハラハラと、
泣き腫らしたあの娘(こ)の薔薇色の頬

中ガッコウ
春校舎のアスファルト
散り桜一面お世辞にも
可愛くはない毛虫踏んづけないよう歩いた→

→ハリウッドの映画女優があそこをもしも歩いたなら…

ほんのりポカポカ4月の陽射し
一対白桃男子のヨダレ





霧の町いる岩よな男
ブワンブッワン、台フーン

(1)一人の白花を持ったショートヘアの娘が
深い霧の奥からあゆみ来つつあった

儚げに揺れて
いるようでいて黄色い芯は
遥かなる空の水へと向かいてスウッと

それは蝋の火の夢あま音が
生まれては霧は波となり
頬へとゆるやかに寄せ陶器のような白を洗う→

→一羽のルリボシカミキリが、わずかに左へと傾いた枝のクリーム色に浮かんでいる。6月の広葉が右隣の垂直の枝から垂れている。

32歳の"少女"はいましがた凛、と、客が来たことを告げるベルを鳴らしたところだ。

→(1)
「君は男の子みたいだけど、やっぱり女の子みたいだ」と僕は言った。その瞳はすでに甲虫のように黒光りしていたけれど、僕の言葉を受けて一寸ビー玉のように澄んだらしかった。それを僕はややあって気づいた。→

→そのころ"少女"は6月の快夜に澄み渡っていた。彼女はウスムラサキのシャツから褐色の腕を伸ばして、体育座りで30℃右上を向き空を見ている。ぐるりと取り巻く家々の屋根は、無数の瓦の渦巻きの狂う海のようにも見えるけれども、彼女はとうにそのことを知っている。ただ夢が、ちょっぴり哀しくってでも甘ったるい、型の崩れたカスタードプリンみたいな夢が、彼女のその瞳を、亜麻色の瞳を彩っていた。


25/03/11 21:26更新 / はちみつ



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