ベートーヴェンフリーズ(クリムト)
"さすがに今朝は有里紗との対話はお休みだった。"だった"というのは既に異なる内的世界にいるからで、いままさに私へと深緑の、しかしくすんだ深緑の蛇が現れているところだ。「シュオオル…」と、私はこのいささかおっきな蛇が雄だと即座に分かったのだけど彼は唸った。サッと風が巻き起こった。でも今朝はここまでだと、私は「デタラメな加工」というおじいちゃんの言葉を思い返した。
語りの都合で言えなかったけど私はまた、この森はほかでもなく日本的だといつの間にか森に投げ出されてしまっていたかのようないわばその瞬間に思った。また大切だと思うのは風を巻き起こしたとはいえ彼はまったき風の精というよりは風と水のあいだの精だということ、もっと言えばしかしあくまで風の側にアクセントがあるということそれらのことだ。…と語っているとチョロロロロ…森の左奥あたりからか細い水の流れが見えている。
でもやはり今朝はここまで。正直いまイメージはかなり鮮明になってきているから、その意味ではそれこそ胸の開き時なのかもしれない。でも何かが私を立ち止まらせる。あるいは私のなかでまだ、このあたかも古代日本のそれのような森を歩く準備ができていないのかもしれない。"
これを書いた折りは当然のように蛇は味方なもんだと思ってたんだけど、イメージが動き出していま書き始めたら、次のような書き出しになりました。
蛇に喰われる気配を感じたから逃げるように夢から覚めた。…
何が言いたいかというと、また小説駆動し始めました!今度こそ長く書ければ。原稿用紙50枚分は書かないと新潮新人賞、出せないので(笑)
でも今回こそは、地に足の着いた状態を保ったまま書き続けることができそうです。
それにしても無意識って面白いですね。蛇が強い感じは当初より抱いてましたが、それが主人公を食おうとするという発想は不思議と思いつかなかった。それが2時間ほど前にうつらうつらしていたらクリムトの『ベートーヴェンフリーズ』が脳裏でやたらユラユラしていて、それを感覚してると退廃的な女性があたかもおどろおどろしい蛇に見えて、"そうか!"となりました。
緩やかに巡っていくような構成にできれば理想ですが、はてさて。ちなみにもちろんですが、前作から独立した作品として書きます。50枚行かなければたぶんまたBーREVIEWに発表すると思うので、その折りはまた読んでくださるとうれしいです♪
応募規定 第57回 新潮新人賞
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