ポエム
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語り合うこと、笑い合うこと
 エアコンを見やるなり黒カビが目に飛び込んでくる。ガスは電池を変えてもつかない。階段に明かりがなく早朝のゴミ出しの折転びそうになった。安アパートだからちょっとは覚悟してたものの、これほどとは…
 エアコンはすぐに業者さんに掃除してもらった(やっぱプロだった、もちろん管理会社持ち)。ガスは、すべて電子レンジ調理だから放置(ただ、入居後チェックの書面にて報告はした)。ゴミ出しの折には懐中電灯を持って行くことにした。
 自分、がんばってるじゃんって思う。分かってる、所詮は自己満足だって。でもたぶん、それでいいのだ。未来の彼女に話すネタくらいにはなるかなと思う。たとえ自分のいままでの(いまの)、カツカツの生活を送らざるを得なかった境遇や、そしてまた愛に恵まれなかった境遇に、泣いてはくれなくっても、一抹の憐憫とともに笑ってくれさえすれば、なんだか報われる気がする。
 考えてみればいままでは、人に重い方向重い方向へと話を持って行こうとしていた。その度にサラリとかわされ傷ついていた。でも軽やかに笑い合うことだってそれと同じくらいに、あるいはもっと大切なことなのかもしれないと、いま思う。
 きのう、機種変更しにauショップに行ってきた。データ移行もお任せしたということもあり、計1時間半ほど、ちょっと上くらいの女性の店員さんと場をともにした。「エクスペリアになにかこだわりがあるんですか?」「いやないです、ないです、ホント"さいってえげん"の機能しか使ってない機械音痴なんで」―そして店員さんの、花の咲いたような苦笑い。あっ、いま楽しいなって、素直に思えた。この軽やかな感じを大切にしたいなと思った。
 重い話ってたぶん、しようとしてするものじゃないんだろうな。半ば必然的に布置のようなもの―つまりは空気―が出来上がってて、いつの間にか2人そこに居合わせてる―みたいな語らいの中でこそ、深みってものは真に共有されるのだと。少なくとも、しみじみとした共感欲しさに節操なく語り合おうとするような態度は、そろそろ卒業しようかなと思う。
24/02/22 05:42更新 / はちみつ



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■作者メッセージ
新スマホは Pixel 8 になりました。色は少し迷いましたが、ピンクにしました(笑)

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