ポエム
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物哀しい靴音
思い出すのは、真夏の梅田駅地下の靴音の群れ
むさ苦しさに彼の手を引いて地上に出たら
そこもビルの群れに覆われた地下のような場所だった
狭い空間に人もビルも物もみな詰め込まれたような―

背中を軽く後ろに倒すと夏の夜空に吸い込まれた

わたしが鈴虫の可憐な声を聴いているこのいまも
彼はあの物々しい靴音を聴いてるのだろうか

涼しげな風が頬を撫でた
それは鈴虫たちとともに秋の訪れを告げているようだった

でも秋が去り冬になれば今度はまた
物哀しい靴音があなたの胸を侘びしくするのでしょう
22/01/21 08:13更新 / 桜庭雪



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