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嘲り顔がこんなにもさわやかだなんで
遠く見る、さらりとした砂の上の君。キュッと締まったホットパンツ姿。浜辺を囲む厳めしい岩と好対象を成し、風さわやか。やわらかくも規則的な波、その合間を縫うようにのっそりと歩くヤドカリを見ていると、時が止まるかのよう。

君は弟をからかっている。嘲り顔がこんなにさわやかだなんて。

僕は弟の"お兄さん"として一目置かれている。そのじんとした誇りと、傍観者でしかいられない悲哀とが混じ合うようにして、胸の底へと沈んでいく。

この情景を忘れずにいようと、目を細める。さまざまなものたちが弾けているようで、昼間なのに花火でもしているみたいだと、僕は思った。跳ねる彼女のしなやかな脚―
21/05/07 07:57更新 / 桜庭雪



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