砂漠で滅んだ王族の末裔
月の光が等しく土を洗い
梢のあいだには星が遠く散りばめられている
隣に佇む女の雪化粧
それはまるで
砂漠で滅んだ王族の末裔
遥かなる一面の砂漠にそびえ立つ宮で
ただ1人
月と星だけを友にし
厳かに通り過ぎる幾万夜
真珠を宿した瞳は
その海に神秘の光を揺らめかせるままにして
縁取るなだらかに反った曲線は
闇よりも黒く輝いている
ある日女は万感とともに静かに宮を出て
やがてこの森へと辿り着いた
寒さに震え
鳥獣に怯え
絹1枚であてどなくさまよっていると
そこへ1人の同じ年頃の青年が偶然にして通りかかる
柔らかい月の光のような優しさに
彼女は青年に付いていくことを決めた
2人は森のはずれの賑やかな村の一軒家で幸せに暮らし始めたのだが
ときおりこの夜の森に来ては
あの梢の狭間の淡い明滅を、哀しく美しい目で眺めている
梢のあいだには星が遠く散りばめられている
隣に佇む女の雪化粧
それはまるで
砂漠で滅んだ王族の末裔
遥かなる一面の砂漠にそびえ立つ宮で
ただ1人
月と星だけを友にし
厳かに通り過ぎる幾万夜
真珠を宿した瞳は
その海に神秘の光を揺らめかせるままにして
縁取るなだらかに反った曲線は
闇よりも黒く輝いている
ある日女は万感とともに静かに宮を出て
やがてこの森へと辿り着いた
寒さに震え
鳥獣に怯え
絹1枚であてどなくさまよっていると
そこへ1人の同じ年頃の青年が偶然にして通りかかる
柔らかい月の光のような優しさに
彼女は青年に付いていくことを決めた
2人は森のはずれの賑やかな村の一軒家で幸せに暮らし始めたのだが
ときおりこの夜の森に来ては
あの梢の狭間の淡い明滅を、哀しく美しい目で眺めている