ポエム
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哀と愛
淡い秋の午後。この静かな墓地に佇んでいると、あなたの笑顔が微風になってそよいでくるようです。

秋は不思議な季節ですね。枯れ葉を見ると哀しくもなるけれど、栗はこの秋も豊かな実をたくさんつけてくれることでしょう。大地はいわば、哀しみながらも、その生を悦んでいる。そんな深みのある秋という季節は、僕の心根にこのうえなく馴染むような気がするのです。

ところで、"哀"と"愛"が同じ音を持っているのは偶然でしょうか?きっと僕たちの祖先たちは知っていたのだと思います。愛のなかに哀があり、哀のなかに愛があるという、そのことを。

このいま振り返ると、あなたとの日々は、あなたがいなったあの日への助走だったかのように淡く、切ないものだったように思い出されます。そしてあなたがいなくなってからというもの、あなたへの愛しさは募るばかりです。

とはいっても、もう1度、あの浜辺で手を繋いで歩いてください、なんてことは言いません。ただそっと見ていてくれればいいのです。胸のなかあなたと静かに触れあうわたしの、ささやかで満ち足りたこの日々を。
21/03/29 10:40更新 / 桜庭雪



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