ポエム
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こんな僕にも世界の広さを伝えてくれる
諦念も倦怠も生きている証なのだと、土曜の長い午後に思う。それらのえもいえぬ甘さは、自分をなにかの映画の主役のようにさせる。それは挫折した騎士の物語。

僕は背中を壁にもたれさせながら、気取るようにしてひとりごちる―"実に愛すべき旅路を歩いてきたのさ"と。

そうして目前に伸びる道をぼんやりと思う。胸踊る冒険が待っているわけでも、世界の命運を決するドラマを生きれるわけでもない。

けれど、この午後にも明日の朝にも、頬を撫でるそよ風は、こんな僕にも変わることなく世界の広さを伝えてくれる。

僕はそうしてこれからも、気だるげながらも悠然と、果てない日々を明日へと歩いていこう。
21/03/13 17:09更新 / 桜庭雪



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