ポエム
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移ろいゆく歳月だけが
彼女は木々や草花だけを本当の友にして
しかし天真爛漫に生きている

そう、"しかし"と僕は言った

人間相手に心を開かないかぎりは
本来寂しいはずなのだと
さっき僕の本音がこぼれた

あの天真爛漫さは寂しさや哀しさの裏返しのようで
僕は彼女を抱きすくめたくなる

でも朝焼けを物悲しく見つめる彼女の姿を想像すると
はるか空へと親友や恋人に焦がれる彼女の眼差しを想像すると
僕ははてのない畏敬の念に打たれるのだ

いま流行りの濃い白化粧に
口唇紅く鈍く光って
月明かりは彼女の哀しみが染め上げる色

そうして移ろいゆく歳月だけが
ただ彼女を知っている―

その美しい悲哀は
彼女をそっとしておいてあげよと囁く
21/02/01 17:27更新 / 桜庭雪



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