あるかなきかの水滴
庭に出ると地面から、小雨が降った後の匂いがした。石やアスファルトは艶やかに湿っていて、 なんともいえない情緒が醸し出されている。こころなしか空気も澄んでいる気がする。 そうやって、僕は庭を佇みつつ歩いていた。
しばらくすると、僕は畑にも行ってみようと思い立った。畑はやはり土の匂いがした。名前の知らない紫の花を彩るあるかなきかの水滴が、世界の清浄を告げていた。
―こういうとき、いつも思うのだけど、十分味わった、という判断を、僕は(人は)どのように下しているのだろう?ともかく、僕はまさに今しかないという頃合いで散策を止め、再び家のドアへと向かっていた。
しばらくすると、僕は畑にも行ってみようと思い立った。畑はやはり土の匂いがした。名前の知らない紫の花を彩るあるかなきかの水滴が、世界の清浄を告げていた。
―こういうとき、いつも思うのだけど、十分味わった、という判断を、僕は(人は)どのように下しているのだろう?ともかく、僕はまさに今しかないという頃合いで散策を止め、再び家のドアへと向かっていた。